エミリィの北海道 夢の15日間
〜みぞみぞ 3回目の北海道に挑む〜

機関誌 Vol.08 39〜53ページ

<みぞみぞ>



 今年のテーマ「やさしさを求める旅」
        北海道は私に何を与えてくれるのだろうか?

 ちょっと長編になるけど、これは私が北海道に体当たりした記録です。夏の北海道ツーリングは今回で 3回目になります。1回目は乾博士と、2回目はらいらっくのメンバーと一緒に回りました。3回目は一人で回ろうと決心し、やさしさを肌で感じようと思いました。
 なぜライダーが北海道にこだわるのか、なぜ仕事を辞めてでも北海道にくるライダーが多いのか、それは大阪では体験出来ない素晴らしい心がそこにあります。また人と人とのふれあいがそこにはあります。人間はひとりで生まれひとりで死ぬ。その間にあるのは戦いなんだ。そんな中でライダーにとって北海道とは心のオアシス。安らぎを求めて北の大地を走るのだろう。もしかするとライダーとは、寂しがり屋なのかもしれない。単車とは読んで字の如く、ひとりの乗り物なんだな。たった15日間の旅だけど、バイクの良さ、北海道の良さをまとめてみました。今回北海道に行けなかったみなさんに、まだバイクを知らないみなさんに、これを読んで少しでもわかっていただけたら幸いです。

                   夏の終わりのある夜 午前4時28分 みぞみぞ
8月21日(金) 曇のち大雨
 今日は北海道へ向けて出発の日。大阪を出たのが午後1時30分。混んでいたので神戸に着いたのが3時40分。それからバイク屋に行って、ブレーキパットとオイル交換。1万円かかった。次に2週間分の食料とタープ、プリムスなどを買いに行き、5千円の出費。今回の北海道ツーリングは、全くお金がなくバイト先から7万円前借りして出発なのだ。残金5万5千円のみ持って出発だ。
 さあ5時になった。元気よく神戸を出て行く。後続に乗れば1時間もあれば舞鶴に着くんだけど下を通っていった。お金がないからだ。
 舞鶴へ着くまでに、大雨にあった。かばんも靴もぐしょぐしょだ。しかも、買ったばかりの時計を落とす。(あー初日からむかつくぜ!)
 友達はいいもんだ。としえちゃん、もとぴー、まゆみちゃん、Y水くんが見送りにわざわざ来てくれた。本当にありがとう。
 今日は疲れたので消灯と同時に一番に寝る。
8月22日(土) 晴
 起きると午前11時30分だった。大富豪をしたり、お風呂に入ったり、綱引き、ジャンケン大会、ウルトラクイズ、カラオケ大会に出た。私はウルトラクイズの決勝まで残ったが、惜しくもラストの問題で間違え二位に終わる。また今回のカラオケ大会は審査員がいて、一位から三位までは副賞がついてくるはりきるみぞみぞ!
 さて、ここはらいらっくラウンジ。ステージのまんまえに陣取る。順調に進行していたそのとき、初老の男女が私達の方に向かって歩いてきた。と思ったらいきなり靴をぬぎだす。「ここは土足でいいんですよ」と言ってあげようとおもうやいなや、な、なんとダンスを踊り始めたのだ。驚いた。いや本当に驚いた。私も踊りに行きたくなったが勇気がなかった。Y水クンがいたら、きっとおしりフリフリおどってくれただろうな。がんちゃん、健闘して二位になる。
 その夜、いつも通り自販機の前で明日のルートを決める。午前1時30分に寝る。
8月23日(日) 曇のち雨のち曇
 午前2時30分に到着準備のアナウンスがじゃんじゃんあったらしい。イヤーウイスパーをしている私は全然知らなかった。外に出るとまだ4時30分。真っ暗だった。山口の山本が出迎えに来てくれる。時期が時期だけにライダーは少ない。友達になった人数もいつもより少なく、恒例の写真撮影もすぐに終わった。
 私はやっぴー、かんちゃんと同じルートだったので、一緒にまわることにした。
 まず、北大のポプラ並木。ミーハーみたいでイヤだったけど、一度見たかった。午前6時頃北大に到着。学生か誰かわからんけど、人が結構いて恥ずかしかったが、バイクでうろうろ。ポプラ並木は木が倒れてきたら危ないので通行禁止の看板があったけど、無視。平気で歩く。(あぁこの並木道、夕暮れ時に大好きな彼と腕を組んで歩けたらどんなにすてきだろう)オコタンペ湖、支笏湖、苔の洞門へと行く。その途中霧のような雨にあい、またまたレインウエアを着る。(あーいやいや)
 支笏湖では、その大きさに感激し、思わず「ヤッホー、ヤッホー」と言ってしまう。それをみたかんちゃんは、思わず「あーいーうーえーあーあーおー、かっきっくっけっこっかっこ」と、手を後ろに組んで叫んでいた。(にんともかんとも・・・)
 苫小牧の駅前においしい回転寿司があると聞いたので、とりあえず行ってみる。駅前に回転寿司はあったけど、ここがその寿司屋なのかどうかはわからない。迷っているとやっぴーが通りがかりのおばさんに「この辺においしい寿司屋はありますか」と、その寿司屋の前で尋ねている。そのおばさんは「駅前の回転寿司はここだけよ」と言うので入ってみた。バイク雑誌やライダーのらくがきノートがあったので、どうやらここらしい。100円から300円だが、あわびやいかまぐろなど100円で安いし、とくに卵はめちゃくちゃおいしかった。
 夕張に着くと私はまず「幸せの黄色いハンカチ」のロケ現場へ、やっぴーとかんちゃんは嶋商店へと向かう。そのロケ地には、いまでもあのハンカチがほしてあり、家の中には映画で使った車やポスターが展示され、ビデオも流れている。また黄色の紙で壁という壁には観光客の願い事が貼られていた。もちろん私も書いて貼った。何を書いたかって?それはあなたと一緒よ。キャア、エッチ!(アホか私は)
 嶋商店に向かう途中、路肩を走ってすり抜け。するといきなりピピピピーとレーダーがなりブレーキ。ネズミ取りだ。ラッキー、セーフを思ったけど、ポリが出てきてパトカーに乗せられた。なんと、路肩走行だというのだ。ポリ「スピードは42km/hだからいいんだけど、あんな路肩走ったらダメ。」私「えっ、切符切られるんですか」ポリ「そらそうだ」なんてぬかしやがる!!おもわず「嶋商店という店を捜していて、トロトロ走っていたから路肩を通っていたんや」とうそと能書きを並べ、アーンド私の涙と絶妙な演技で厳重注意ですんだ。(ホッ、ラッキーバルボア!!イエーイ)話しの流れ上ポリに「嶋商店はどこにあるんですか」と聞いたが、どうやら知らんみたい。電話帳や地図で捜してくれるんやけどわからん。(はよーしてーなあ、やっぴーとかかんちゃん待っとんやからあ、そこにあるやん)いいかげんイライラしてきたので「友達に聞いたんですけど、病院の前通るらしいですよ。」とみぞみぞ得意の表現を使う。ポリ「この辺に病院なんかないけどなあ。」(おまえらほんまにここのポリかあ、すぐそこにあるやんか)とあきれながらもういっしょ、「確か、坂を上がってキャンプ場の近くにあるとも言ってたなあ」(どや、こんなけ言うたらわかるやろ?)ポリ「キャンプ場ねえ?」(おこんで、ほんまに)「バス停のまえじゃ!!!」と言おうとしたら、「あっ、嶋商店ね。ここ、ここ。この道をまっすぐ行って・・・」やっとわかったみたい。(まったく、これ以上ヒント言うたらばっればれじゃないか)こんなことがあったので少し遅れてやっと到着した。彼らは帰るところだったが、私が来たので再び家へ行った。おばちゃんも、おっちゃんも喜んで歓迎してくれた。とうきびを食べ、おみやげにさんま、おつけもの、ふかしたじゃがいもにバターをつけたやつをくれた。本当にうれしい。そのあと二階に住んでいる幼稚園児のりさちゃんらとたくさん写真を撮り、嶋商店をあとにした。今日の宿は富良野のラベンダーライダーハウスだ。時間がなかったので、オンの二人も近道のダートを走って行く事にする。そのダートとは、夕張から桂沢湖を経て、芦別へと行く道道1907だ。まずまずのジャリ道でおもしろかったが、彼らはやっぱりしんどそう。もしここに中野一号がいたら、きっと溺れて、ジャリ死していただろう。
 舗装道路になると、ハイペースで富良野へと急ぐ。やっぴーが眠いというので、無線を使ってしりとり歌合戦をする。
 ラベンダーライダーハウスに到着。中野一号とがんちゃんはすでにくつろいでいた。荷物を整理していると、レインウエアのズボンと、おばちゃんにもらったさんまときゅうりのおつけものを落としていた。めちゃショック・・・。
 ここは素泊まり600円で夕食のジンギスカンをつけると1500円になる。ビンボーな私は夕食なし。みんながジンギスカンを食べている間にお風呂へ入り、疲れていたのですぐに寝る。
8月24日(月) 晴のち曇のち雨
 何時頃だったか、目が覚めると私のお腹がとなりのギャルのまくらになっていた。その女の子はあまりにも気持ち良さそうに寝ていたのでそのままにしておいた。(その女の子とは、ユーミンであった。ううっ、身動きができないゼ)去年ここで私は人の頭をまくらにして寝ていたので、そのおかえしなのだろうか。
 さあ、いい天気だ。そろそろ出発しよう。午前中は富良野をまわった。「北の国から」のロケ地は、えらいようさん説明書きの看板が多かった。例えば、「純と蛍が建設中の家に向かい雪道を歩くシーン」「五郎と雪子おばさんとその子供3人で手をつないで歩いたところ」「五郎が中畑木材の人に、100万円作るため丸太を売った話しをしたところ」等々。
 原子ヶ原、八幡の丘、プリンスホテルに行く。プリンスホテルは営業していなかったので、堂々と中まで入る事ができた。(ラッキー)
 午後は美瑛をうろつく。ゴッホの丘、美馬牛、拓真館。拓真館を出ると雨が降り出してきた。むかついて発狂しそうになる。3時30分だったけど、雨が降っていることやし、テントを張ろうと思い美瑛にある、かしわ園キャンプ場へ行く。途中でやみ一安心。テントを張り、ラーメンを食べて、一服し夕日を撮りに行こうと4時頃出たけど、イヤな雲。でもめげずに北瑛を走っていると、やっぱ雨。レインウエアのない私はさっさと、キャンプ場に戻る。結構激しい雨だ。大丈夫かな。早く明日になってくれ・・・ 午後6時30分に寝る。
8月25日(火) 曇
 午前5時20分起床。こんな朝早くから、カレーと焼き鳥を食べる。(うん、私は立派なキャンパーだ)カレーと言ってもククレカレー、焼き鳥と言っても缶詰だけど!
 おしりのあたりがどうもプヨプヨしている。なんだろ?と思って調べてみると、昨日の雨でなんと水たまりの上にテントがあるのだ。それでも全然平気で染みてこなかったので助かった。
 7時出発。午前中はまたまた美瑛を走るまくる。さぁて、そろそろ次の目的地に行こう。深山峠で休憩。本日のルートを考える。富良野−旭川−層雲峡−三国峠−足寄に行き、大阪屋食堂で泊まるか、それとも道北へ向かうか迷った。はじめのルートは何回も通っているので北に行くことにした。とりあえずは朱鞠内湖をめざす。できるだけ国道は通らずに道道を行く。道道は交通量が断然少なく、マイペースで走ることができ、爽快な気分になる。
 それにしても今日は朝から天気が悪い。今にも降り出しそうな予感。レインウエアないしなぁ。しゃあない、バイク屋行って買うか。でホンダに行くと、4000円のやつと6000円のやつがあった。ええやつ買おうと思い6000円のをお兄さんに渡す。「コレ4000円のやね」というので「いやいや6000円ですわ」と、正直になってしまう。大阪やったらだまっとくかもしれへんけど、北海道ではどうも悪いことができない。(どこの土地でもできひんわい!普通の人は)
 午後12時30分やっぱ雨が降り出した。
 2時に朱鞠内湖に到着。北海道最大の人造湖。なんとも気味が悪い。空はどんよりしているし、カラスは鳴いている。湖畔は静まりかえり、人は何人かはいるけど人気はなく、湖のまわりには枯れた木がいくつもある。いまにもでそうな感じだよ。あー怖い、さっさと行こう。
 国道275は快適な道だった。美深峠はその名の通り、「これぞ山」といった感じで、美しく深い山だった。一度踏み入れたら二度と出てこれないような、そんな山だった。
 このあたりからまた雨。これで三日連ちゃんだよ。この怒りをどこにぶつけていいのやら・・・。もう、いやだ。もう今日は走らない。雨をよけれる寝床をさがす。ちょうど川沿いを走っていたので、大きな橋があった。よし、あの橋の下で野宿しよう。バイクを橋の上に置いとくのは心配だったので、下に下ろす。下ろしてから「この土手、上れるかなあ」と思ったけどもう遅い。
 午前3時50分だけど、晩ご飯にしよう。今日のメニューはスパゲティー。どんなもんだい(炒めるだけだけど)それにしてもここ最近あまりおなかが減らなくなった。体重57kgあったのに、北海道来る前には53kgまでおちた。行きの船の中ではカップラーメン1個、一日目はお寿司といも2個、二日目はカップラーメンのみだ。夏バテかな。食欲全然ないんだよ。
 今、午後6時30分暗くなってきたしそろそろテント張ろうかな。ヘッドランプしかないので、テント内は暗い。なんか怖くなってきたなぁ。雨の滴る音、川の流れの音。気味が悪いよー。あーもう寝よ寝よ。早く明日になってくれぃ。
 日付は変わって現在、午前零時五分。突然目が覚めた。こんな時間に起きるなよーと寝ようとするのだけど、恐怖心がかえって目をぱっちりさせてくれる。目をつぶって必死に寝ようとしたその時、『カサカサカサ、カサカサカサ』と音がする。誰かそこにいる。人間、クマ!?おもいきってヘッドランプをつけてみた。なんと、テントの窓が風に揺られて鳴っていたのだ。(コノヤロー、持ち主をおどかすんでねぇ)
 少したつと今度は誰かがテントを照らしている。その明かりは一度消えてまたついた。変質者が来たんだ。もうあかん。殺される。なんといってもここは山奥で私一人。光はしだいに明るくなりバイクのシルエットがテントに写し出された。と同時にだんだん暗くなってゆく。どうやら車のライトらしい。「ハァ」とため息。
 あいかわらずの雨の音、川の音、『カサカサカサ』の音はしている。イヤーウイスパーがとれてどっかにいってしまった。手探りで捜したけどわからない。しかたがないので、指で耳を押さえて寝た。それから1時間程寝付けなかったと思う。気が付くと午前4時15分だった。
8月26日(水) 曇のち晴
昨夜は本当に恐ろしい夜だった。午前4時15分だけどもう行こう。
 テントをたたみ、荷物をまとめて、土手の上まで運ぶ。靴が朝露に濡れる。そうだ、一番の難関バイクを上に上げなきゃ。でもその土手は土は全然見えず、草ばかり。しかも露でツルツル。だがじっとしててもしかたがない。とりあえずチャレンジ!斜面に対して垂直に上らないとダメなのに、なんと斜めに上がってしまい、案の定スッテンコロリン。バイクを起こそうとしたけど、今度は足がツルッ。またこけた。一度こけるとなかなかエンジンがかからないCRMだから、少しビビッ多けど、うまい具合にかかってくれた。ようし、今度こそ!アクセルを2度3度ふかしながら、気分を落ち着かせる。(いいか、一気に上がらないとダメだぞ、途中で止まったらもうおしまいなんだから。それと、クラッチは絶対に握らないこと)王将男に坂道の降り方、上り方を教えてもらってて助かったよ。木津川で、王将男から教わったことを、もう一度思い浮かべ自分自身に念をおす。それ、行くぞ!!始めは良かったけど、上に行くにつれてリアが滑る。こけそうになり、左足がついてしまった。ここで止まったらまた1からやり直し。しかもバイクを下まで下ろさなきゃいけない。そんなことできるかーと必死で頑張ったらなんとか上がれた。あぁ、やった!やったぞー!なんてこたぁない、ただの坂。確かにそうなんだ。けど私にとってはそれほど重大なことだったんだ。
 5時19分出発。
 国道40は霧だった。視界は悪い。北海道の8月終わり頃はもう立派な秋だ。寒い。雨じゃないけど、レインウエアを着る。
 道道3551のどんつきはオロロンラインだ。その名の由来は海ガラスが「オロローン、オロローン」と鳴くのでオロロンラインというのだ。今度北海道へ行ったのならその鳴き声をぜひとも聞いてみたいものだ。
 時速80km.hで走る。いい気分だ。オートドライブがあればいいのに。曇ってて利尻富士は影も形も見えなかった。非常に残念だ。でもやっぱオロロンはサイコー。左は海、右はサロベツ原野。これで晴れてたら文句なしやのになあぁ。(あぁ、寒い)
 道道444はサロベツ原野を横切る道路。(うーんいい感じだ)豊富温泉を素通りする。体が凍えていたのでどれほど入っていきたかったことか。でも目指すは宗谷岬。道道1018、56を北上する。今回の北海道で一番気に入った道がここだ。ここは走るだけでそれが観光になる道だった。言葉では説明しにくいが、まるでゴルフ場のフェアウェイに、道を一本つくった感じだ。それが延々続くんだ。一面グリーンで、ゆるやかなアップダウンするグレーの道。真っ青な空と白い雲。色彩はその四色しかないんだ。なんて綺麗なんだろう。走りながらウットリしてしまう。さっきのぐずついた天気はどこへいったのか。私を歓迎してくれるのかのように、秋晴れになった。
 バイクを止めその美しさをカメラに修めていると、向こうの方から中学生が自転車をこいでやって来る。(そうか、こっちでは二学期はもう始まっているのか)おもいきって声をかけてみた。「おはよう」その子も止まってくれ、少し立ち話。私「いいなあ、こんなに綺麗なとこ毎日見れるなんて」少年A「そんなことないですよ。生まれた時からここにいるんで。冬になると学校行くの大変ですし」確かにそうだわね。私たちはここに来ると心の洗濯ができるけど、地元の人はこれ以上に綺麗なところは日本じゃそうないし。羨ましいのか、そうでないのかよくわからんわ。国道238にでると、宗谷岬までもうすぐだ。(あぁ、寒い)
 9時に宗谷岬に到着。寒くておなかが減った。ホタテのあみ焼を食べる。(おっ、おいしすぎるよ)流氷館に入ると-10度。さらに体が冷えてしまった。
 今は天気もいい、「もしかしたら利尻富士が見えるかもしれない」と思って、国道238を戻って稚内に行く事にする。10時出発。
 稚内市内でレーダーが鳴る。(おっと、ブレーキ、ブレーキ)またまたネズミ取りだ。今度はセーフ。ノシャップ岬へ行ってから再びオロロンラインへ行った。晴れてはいるんだけどガスっぽく、利尻富士の山際だけはなんとか見ることができた。
 次はどこへ行こうかなぁ。そうだ、確か中野一号がクッチャロ湖キャンプ場のトイレは自動ドアやと言ってたなぁ。よーし、本当かどうかこの目で確かめてこよう。また道道1018を通って豊富温泉へ戻り、道道724に入る。この道もいい感じの風景だ。道道1018とは少し違って今度は素敵な林間ルートに変身。あまりにも気持ちがいいので、スタンディング。するといきなりタンクバックが落ちてしまった。(あーあ、カメラ二台と無線機が入っているのに・・・)なんとか無事だった。だいたいオン用のタンクバックを、オフ車につけること自体無理なんだよ。今年の北海道はなめた格好はやめようと思っていたのに、結局ざぶとん仕様、ブーツなしだ。あの、がんちゃんでさえブーツを履いてきたのに・・・。
 午後2時30分にクッチャロ湖到着。早速トイレに行ってみた。中野一号が言ってたとおり自動ドアでしかも白鳥の湖のBGM、それが終わるとクッチャロ湖の説明が流れる。手洗い場も自動水栓。贅沢な施設だ。キャンプ場もグリーンの草いっぱいでとても綺麗な所だった。もちろん使用料金はいるけどね。今夜はここで泊まってもいいんやけど、時間はまだたくさんあるし、その日は風がとてもきつかったので、次の目的地に行くことにする。
 次の目的地とは、枝幸町の少し下、歌登町にある歌登温泉、健康回復センターだ。ここにキャンプ場があるので、今夜はここで決まり。3時30分すぎには着くだろう。
 枝幸町手前辺りで、いきなりバイクが止まった。「えっ、まだ190kmしか走ってないのになんで?」エンジントラブルかなと思ったけど、単なるガス欠だった。リザーブに切り替え「なんてこたぁねえよ」と一言。道道を飛ばしすぎたかな。
 歌登町内には4時頃着いた。二人の小学生が自転車に乗って歩道を走っている。私の姿を見ると元気よくピースサインをしてきたので、輪つぃも気持ちよくかえすと、喜んでいた。(かわいいガキンチョやなぁ)
 健康村に着いたのはいいけど、キャンプ場がどこにあるのか分からなかったので、枝幸の千畳岩キャンプ場に変更した。今きた道を戻っていると、さっきの小学生がいた。自転車でこけそうになっているが、私を見つけると、もがきながら、痛そうな顔をしながらまたピースサインをしてきた。私もついつい元気よくサインを送る。そんな小学生を見ていると、たわいもないことだが、うれしく心やすまるなぜだろう。あの少年も私たちを同じように大きくなったらきっとバイクに乗るだろう。あの少年たちから見て私はどのように写っているのか。とにかくあの子たちのよい見本になれるように、負けないように、夢をもって頑張っていかなきゃ。
 千畳岩キャンプ場に4時30分到着。無料なのにとても綺麗な所だ。短所は風がきつくテントが飛ばされそうだったこと、蛍のような虫が多かったこと。でも、タダやしな、文句はいえんの。それにしても、今日は相当走った。420kmやで、なんと。出発したのが5時19分やもんなぁ。怖かったから、一分でも早くそこを出たかった。おかげでもうクタクタや。枝幸YOUに行ってお風呂に入り疲れをとろう。
 夜だけどいい天気だ。満点の星たち、天の川が見える。天の川かぁ、去年富良野でも見たなぁ。一年ぶりだ。心が洗われるよ。明日もいいことがありそうな気がする。おやすみ・・・。
8月27日(木) 晴
午前4時40分に目が覚めた。まだ眠たかったのでまた寝る。
 5時40分に今度は起きた。風もなく今日もピーカン!よし、いいぞ。
 本日の予定は「氷のトンネル」とりあえず、枝幸から昨日行った健康回復センターの前を通って道道1017を南下し、下川町をめざす。7時20分出発。
 歌登のモービルでガソリンを入れると2.9Lしか入らなかった。昨日のガス欠でびびったかな。
 道道1017を快調に走る。するといきなりダートになった。ジャリ道だったが結構深い。上りは3速、下りは2速で走る。でないとこけそうだ。その途中で「スーパー林道美深歌登線」を発見。走りたかったが工事のため通行止め。
 約14kmのダートが終わると、綺麗な舗装道路で車など全くなし。
 道道355に入った。『展望台』と書かれたきたない看板が目についた。「なんの展望台やろう」と思い、暇だったので行ってみた。どうやら牧場のようだ。それにしても大きな牧場だなぁと思いながら、上へ上へと走る。展望台といっても、消防署にあるような、細長い鉄塔と、ログハウスがあるだけだった。
 その鉄塔には一人のおちゃんがいた。バイクを止めてなんやかんやしているとおっちゃんが降りてきて「写真とったるべさ」と、こっちへ来た。私がヘルメットをとると、「なあんや、女の子かい」立ち話をして、鉄塔のてっぺんまで一緒に上がった。ここは、サンル国営牧場。夏の間だけ村人から牛を預かっている。おっちゃんは町職員で牛たちの様子を見に来ているときだった。現在ダム建設の施工準備が進んでいて、10年後ぐらいにはこの牧場も三分の一はダムになっているだろう。始めは用水路を作るくらいのものだったが、だんだん大きくなり、とうとうダムになってしまった。村人たちの立ち退き交渉も決まったんだと、説明してくれた。おっちゃん、本当にどうもありがとう。何10年かたって、私が子供を連れてこの地に来たときには「ママが昔ここに来たときは、ダムなんかなかったのよ」と教えてあげたい。
 サンル国営牧場をあとにし、下川町に着いた。ゴーグルをはずし、30km/hのスピードで町の中をゆっくり走る。おなかがすいた。何か食べようとまわりを見渡していると、『びっくりやき』という看板に目がいき、なんだろうと思ってその店に入ってみた。
 「すいません、やってますかぁ?」「はぁい、どうぞ」という会話からはじまる。「びっくりやきってなんですか」「おやきなんです」要するに回転焼きと同じものだった。あんとカスタードの2種類があったので1個ずつたのんだ。
 たかだか、100円の買い物なのにおばさんはずっと私の話し相手になってくれた。北海道のいろんな話しをしてくれたので、私も今回のツーリングのおもしろい話しなどたくさんした。
 私は下川町の町並みといい人柄といい大好きになった。地図を見ていると「どこまで行くんやぁ」と2階の窓から声をかけてくれるし、(大阪弁じゃなかったとおもうけど)モービルのおっちゃん、お姉さんも親切だった。この町の人情あふれる人たちが、とても気に入った。たったこれだけのことなんだけど、感動せずにはいられない。なぜこんな気持ちになるんだろう。北海道という地が、私をやさしくしてくれているせいか。
 「氷のトンネル」に行く予定だったが、この街の誰に聞いても溶けていると言っていたのでやめにした。
 道道902を通って岩尾内湖へと向かう。その途中できつねと出会った。人なつっこいきつねで全然逃げようとしない。おもわず「ルールルルル、ルールールー」と、言ってしまい「北の国から」の蛍に変身した私。きつねの態度は別に変わらなかったが、セクシーなポーズをとるきつねには驚いた。まあ見方を変えればだらしない格好にも見えるのだが、後ろ足をまっすぐのばし、うつむけになっておしりを光らせて寝ているのだ。何とも妙なポーズだった。写真撮ったからまた見て下さい。
 何か食べ物をあげようと思ったけど、あいにくなにも持ってなかった。「あっ、ハイシーのオレンジジュースがあるわ」と気付き、「おい、これはオレンジジュースといって、甘い汁や。ほんまやったら私の大事な水分やからあげへんねんけど、セクシーなポーズにめんじてこれをあげよう。しかもハイシーのやで、心して飲みや。」と言って、道路にジュースをたらしてやった。私がそばにいると、警戒して飲みに来なかった。だから少し前に進んで後ろを振り返ると、ペロペロなめていた。かわいい奴だった。
 それからすぐ、岩尾内湖に着いた。この岩尾内にはキャンプ場があり、ゴーカート、つりボート、テニスコート、野球場があり、設備も整い綺麗ないいキャンプ場だった。
 さぁて、次はどこに行こうかな。しつこいようだが、足寄の大阪屋にしようかな、でも、知床に行きたいからなぁ。サロマ湖でキャンプや。
 道道902をさらに南下。国道39に入った。東へ向かって走っていると愛別付近でなんとばったりやっぴーとすれちがったライラックのジャケットは目立つうんよね。やっぴーはしまたにさんが今日北海道に着くから富良野に行くという。やっぴーが言うにはサロマ湖は蚊がめちゃくちゃ多いらしいので、私も富良野に変更した。
 またラベンダーライダーハウスに泊まる。この前は素泊まりだったが、今日はジンギスカンを食べた。一応一回ぐらいはこれ食べたいしね。さあ、明日はどういうルートにしようかな。疲れた、明日決めよっと。北海道あと6日。
8月28日(金) 雨のち晴
 午前5時。ここはラベンダーライダーハウス。音が聞こえる。ふと外を見ると雨。(えっ、うそ)いつもなら、さっさと起きて出かける準備をするのだが、雨でやる気をなくし連泊しようと思いまた寝た。
 その後何回か目が覚めたが、まだ雨は降っている。それでも出発するライダーはいた。私は夢の中へかえる。
 起きたのは9時を少し回ったぐらいだったろうか、顔洗ってラーメンを食べる。あぁあと、ため息をついていると雨がやんでなんと晴れてしまった。(ラッキーぴょーん!)
 やっぴーは襟裳岬へ、しまたにさんは美瑛に行くらしい。私は迷ったあげく、鹿追を通ってナイタイ牧場に行き、地図には載っていない秘密の林道を走り幌鹿峠にぬけ、糠平湖を目指す。そして国道273を通り鹿の子キャンプ場で寝ることにした。
 そうと決まれば善は急げ。(何がいったい善なんだよ)早速出発だ。午前10時。
 山並みがとてもステキな狩勝峠を越え鹿追町へ着いた。
 午後12時20分。休憩なしだったので少し疲れた。綺麗な公園があったので、ここで休むことにする。パターゴルフができる広い公園だ。木陰で20人くらいおっちゃんたちが、焼き肉を食べていた。ジンギスカンもいいけど、やっぱ焼き肉よねぇ。と思いつつ焼き肉を横目で見ながら休んでいると、一人のおっちゃんが私のところへ来た。「神戸から来とんの。女の子やのにすごいなぁ。」といろいろ話していると、他のおっちゃんたちも来て、5人くらいでしゃべっていた。「あっち行って肉食べていき。」「えっ、いいんですか。」(ラッキーバルボアじゃーん)となり、ご馳走になった。焼き肉だと思っていたがジンギスカンだった。(おかしいな、焼き肉の匂いしたんやけどなあ)聞いてみたら、このジンギスカン生後7ヶ月だそうで、そら、あんた、しゃれならんくらいおいしい肉やったで。みなさん農家の方で、野菜や肉を持ち寄って毎月一回みんなでお食事会をしてるんやって。そこにたまたま私が出くわしたというわけなのだ。
 私が肉を食べていると、パターゴルフをしていたおっちゃんたちもみんなよってきて「なんやおまえら、わしが連れてきた子やぞ。あっち行ってゴルフしとけ。」というおっちゃんもいて、楽しい一時を過ごした。あるおっちゃんは、おにぎりを持ってきてくれ、またあるおっちゃんはタレ、お箸、お皿、ジュースなどいたれりつくせりで、申し訳ないくらいだった。肉もとなりで焼いてくれて、「これ、もう食べよ。焼きすぎたらあかんから」と本当に親切にしてくれた。鹿追に嫁に来いとか、仕事やったら世話するでと言ってくれるので、北海道にさらに住みたくなったよ。
 2時におっちゃんたちに別れを告げ出発した。
 ナイタイ牧場に向かう途中にがんちゃんとばったり出会った。これまた驚きである。がんちゃんたちは、富良野で知り合った女の子二人(みわこちゃんとユーミン)と一緒にずっとまわっているそうだ。よっぽど気に入ったんだな。それで今日は日高に泊まるらしい。
 私はナイタイに到着。去年来たときには霧で視界3m程だったが、今回は一応全体は見渡せた。馬にもさわったしピーカンではないけどよしとしよう。
 ナイタイから幌鹿峠に抜ける近道の林道に入った。5分程すると工事の為「通行止め」の看板があった。でもバイクやし通れるやろうと思って前進。しかし、崖崩れでなんと道がなく、あぜん。工事をしていたおばちゃんに笑われた。しかたなく引き返すはめになる。
 さぁ、現在3時40分。ジンギスカンご馳走になったのと、通行止めのせいで、本日の目的地、鹿の子キャンプ場には時間的に行けなくなった。しかたないので国設糠平キャンプ場に変更する。ところが発見できず、分からなかった。聞こか思ったけど面倒くさいので、然別国設キャンプ場まで行ってしまった。今思うと聞いたほうがよっぽど楽だった。私のいい加減さがここにでてしまう。
 寒さと疲労で早く横になりたかったのに幌鹿峠はヘアピンカーブがいっぱい。一本きれて猛スピードで走る。でも峠に「林道交通安全」の旗があるのは見逃さなかった。明日の仕事やな。
 一泊250円。お金払うにしてはそんなに綺麗ではなかった。でも林の中やからこんなもんかな。虫も多かった。蚊ではないからいいか。
 地図を見て明日のルートを考える。雨が降っても多和平と決める。
 ここは10時まで電気がついているのがいいな。ではまた明日。
8月29日(土) 曇
 午前5時20分起床。寒い。寒すぎるので別におなかはすいてないけど、温かいご飯を食べる。カレーにみそ汁。
 7時30分、出発。まずは昨日見つけた旗を取りに行く。でもその旗は去年取った同じ帯広のものだったので、とるのはやめにした。
 昨日行くはずだった鹿の子キャンプ場にまず行こう。この道かなとおもわれる林道にはいった。でもいくら進んでも地図の道と一致しない。どうやら間違った林道を走っているらしい。この林道は結構山奥といった感じで、だんだん怖くなってきた。いまにもクマが出そうな雰囲気。「やだなぁ」と思いながらカーブを曲がったその時、私にビックリして2匹の鹿が私の前を走り去った。あんたたちも驚いただろうけど、私も驚いたよ。初めて鹿を見たので少しはうれしかったけど、とけ怖くなった。さっさと引き返す。
 ルートを変更して、大雪ダムを通って、国道39を留辺蘂方面に向かって走る。それにしてもこの国道はだいっきらい。ダンプが多くて遅い遅い。対向車も多くて抜きにくくてイライラする。
 休憩して地図を見てると落っこちてくる滝の裏側に入れる「山彦の滝」というのがあった。おもしろそうなので、ここに寄ってみよう。しかしその途中でおいるランプ点灯。ゲロゲロ。スタンドに行って「このへんにバイク屋さんありますか」と聞くと、「隣町にいかないとないですね」と言われ、さらにゲロゲロ!「山彦の滝」は諦めた。北海道の住みにくさを一つ体験した。サロマ湖の下、遠軽という町で、ホンダウイング発見。オイルを買いに行くと、「2ストは切らしているわ。すぐそこのホンダプリモにあるから」にんともかんとも。(なんでバイクのオイルがバイク屋さんになく、車屋にあんのよ)
 そのころから霧のような雨が降っている。またかぁ。まだ1時になっていないけど、めちゃくちゃ寒いしもう走るのやめた。サロマ湖でキャンプしよ。
 網走まで行こうかと思ったけどあまりの寒さで走る気もないしな。
 キムネアップキャンプ場へ行ったけど寂しそうなところだったので、中野一号たちが泊まった栄裏キャンプ場に決定した。一泊250円。お金を払ってからやっぴーの言葉を思い出した。「蚊がめちゃくちゃ多いらしいぞ」すっかり忘れていた。後の祭りだ。
 テント張るのにメット、ゴーグル、グローブをつけたまましたよ。蚊が多いから。手でパシッとたたくと、2、3匹は死んでるもんね。まじで。まいった、まいった。
 3時にはテントを張り終えた。暇だ。スパゲティでも作るか。
 すぐ近くにカニの直売所があった。ちょっと立ち寄り試食だけして帰ってきた。さすがは関西人。
 明日はどうしようかな。美幌に行くと知床はしんどいし。美幌は飽きるほど行ったところで、知床は一度も行ったことないし、結局知床にした。よし、明日は知床岬へ行く遊覧船に乗ろう。それにしても明日は晴れてほしい。曇りでもいいからせめてレインウエア着ないで走りたい。
8月30日(日) ピーカンのち曇
 目が覚めると犬かキツネの足音。怖くなって目がさえてきた。なかなか寝つけなかったので時計を見ると午前4時だった。なぁーんだ、もう4時かぁと思うと眠たくなりすぐに寝れた、現金もんだ。
 今度は5時に起きた。今から出発しても知床の遊覧船はまだ動いていないだろう。よし、サロマ湖の展望台にでも行くか。国道238をそれて展望台に行く林道に入った。すると例の旗があり早速仕事だ。しかし対抗者の車が私をジロジロ見ているので諦めた。しかたなく上へと進む。
 駐車場から500m程歩くと展望台があると書いてある。朝から山登り。(あーしんど)登るにつれて右手になんとなく海が見えてきた。しかしここで見たら展望台で見る景色が半減するので見ないようにと歩いていく。やっと着いた。一望できそれはきれいな景色だった。ほんのわずかしかないんだ。サロマの切れ目は。
 帰りの林道で旗の拝借に成功。
 8時にキャンプ場に戻ってきた。歩き疲れたのかおなかがすきお茶漬け、みそ汁を食べる。9時に出発。知床へ向かう。
 とりあえず、網走に向かって国道238を行く。能取湖ではちょうどサンゴがみどころな時期でサンゴ草群生地に行くと、一面サンゴで真っ赤っかだった。
 北海道は3回目だが、過去2回網走刑務所に行っているので、今回は行く予定は全くなかった。が、なぜかウインカーの左が点滅。おもわず左折してしまった。
 網走から一気に知床半島へ向かった。天気はサイコーによく、オホーツクもいっそう輝いてた。知床岬まで行く遊覧船に乗りたかったが、6000円もするので諦めた。(あー、もうビンボーはいやだ)
 知床五湖は空と湖と山の色が私の心を穏やかにしてくれる。道北に次いでいいなと思った所だ。原生林も怖いとか気味悪いという感じは全くなかった。おなじ原生林でも朱鞠内湖と全然違う。知床横断道路は、山々が凄い。カーブを曲がるたびに、山が私に迫ってくるような感じがする。
 ここまでは天気もよく気持ちよく走れた。しかし「あれ、へんな雲」と思ってから、その雲が私を包み込み、視界3m程になってしまった。前がなーんも見えない。急に車に追いつき、おかましそうになったり、カーブだったりと怖かった。だんだん寒くなり、体力も衰えてきた。またまたレインウエアを着て走らなければならない。
 このあとは、開陽台に行ってから、多和平でキャンプしよう。そうと決まれば急げ急げ。休憩したいが時間がもったいない。早く今日のキャンプ場に着いて、あったかいラーメンが食べたかった。今日は走りすぎだ。もう300kmは走っている。めちゃくちゃしんどかったが、速攻で開陽台に行った。
 開陽台では寒さと疲労で10分といなかった。開陽台から多和平まですごく遠かったような気がする。多和平の看板がやっと見えてきて左折したが、凄い風。これじゃあテントが飛ばされるよと思って、25km先の和琴半島のキャンプ場に変更した。たった25kmの道程だが、私には100kmもあるような感じがした。
 和琴に着くと、あれ?やっぴーそっくり。バイクは?FZじゃん。「あーい、やっぴー」またまたやっぴーと再会した。「北海道、広いようで狭いなぁ」とオババみたいなセリフがでてくる。やっぴーは弟と釧路湿原で会ったらしく一緒にいてた。さっ、ラーメンと、和琴名物いもだんごも食べて、おなかいっぱいになったし、お風呂に入ってこよう。雨が降ってきたので、レインウエアを着てお風呂屋さんまで行った。
 お風呂から帰ってきてからバンガローに入って、ここで知り合った2人と合わせて5にんで楽しく過ごした。8時頃露天風呂に入りに行く。真っ暗なので怖かったし、寒かった。でも、お風呂のなかに入ったらだんだん熱くなっていい気持ちだった。
 10時に寝る。今日も一日楽しかったです。おやすみ。
8月31日(月) 曇のち晴
 午前4時に目が覚めたけど、7時30分まで寝る。食料があまりそうなのでむりやりお茶漬けを食べる。
 今日は曇ってて何も見えない。これじゃあ津別にいってもしょうがない。摩周湖にでも行こうかな。と考えながら時間がたつと、なんとピーカンになってしまった。「あらら、ピーカンじゃん。摩周湖に行くのやんぴ。津別に決定」ということで、私、やっぴー兄弟の3人で津別に向かった。津別峠まで行くにはダートを走らなければならない。私と弟さんはオフ車だからスイスイ走るがやっぴーはしんどそうだった。
 この林道はとてもロマンチックだった。白樺の間を走り抜け、上を見ると空から光がさしている。この林道を独り占めっていう感じだった。
 ある時、やっぴーのフラッグが落ちてしまった。それに気づいた私は拾ってあげようと思い、スタンドを下ろして降りた瞬間、地面がジャリ道な為、スタンドが埋まってしまい、なんとバイクが私の上にのってきたのだ。足が挟まって痛い痛い。無線で「こけたー、こけたー」と叫んでいるのにいっこうに助けが来ない。もがきながら待っているとようやくやっぴーが来てくれた。話を聞くと弟さんもこけてたらしい。二人同時にこけたのだった。どうして、CRMとTSがこけてFZがなんともないんだろ?私のバイクには、ダメージなかったが、弟さんのバイクはクラッチが折れてしまった。私のはりがねで応急処置。なんとかいけそうだ。
 津別峠に着くまで、みんなぼとぼと物を落としていく。フラッグ、ペットボトル等。一番後ろを走っていたので、拾おうと思ったけど、さっきみたいにこけたらかなわんので、後にする。だんだんジャリが深くなっていく。やっぴーは大変そうだ。だいたい私は無責任だよ。和琴で出発するときやっぴーが「FZで津別行けるかなぁ」と言うので「行けるよ。王将男もかんちゃんも行ったし、簡単、簡単」と人事のように言っておきながら、内心「大丈夫かなぁ、あそこのジャリ結構深いし、でもまっ、なんとかなるわな」っていうノリだったしなぁ。ごめんね。やっぴーと思いながら、後ろからやっぴーをただただ見守る私。
 無事?津別峠に到着。ここから見下ろす屈斜路湖はとても綺麗だった。和琴のいもだんご屋で、買ったばかりの北海道キャップをかぶって記念撮影。
 12時30分にみんなと別れ、私は国道241を通って双湖台へ行った。ここで東京から来たというお兄さんと仲良くなる。ウフフ。釧路の和商市場は、いくら丼が安くておいしいと教えてもらったので、明日の朝にその市場に行くことにする。
 明日は9月1日。夕張で全員集合の日だ。それと、あこがれの林道。道東スーパー林道制覇の日。早く寝よう。
9月01日(火) 晴
 ポツポツという雨の音で起きた。でももう朝やし大丈夫やろうと思って時計を見るとなんと、午前0時14分。ビックリ。タープ張ってないしどうしようかなと迷った末寝る。(迷うもなにも面倒くさいだけや)
 今度はピカッと光が差してきて起こされた。何ですかぁ?と思うとカミナリだった。まじかいや、まじかいや。そして突然の豪雨。雨漏りが心配だったが・・・寝る。(夜中に起きてタープ張るなんてそんな面倒くさいことしてられっか)
 6時30に起きた。外はギラギラいい天気だ。雨の被害はテント内に少し水が入っているだけだった。たいしたことはない。5000円のテントのわりには、結構いい働きしてるよ。
 かんちゃんお勧めの宮島岬に行きたかったが、昨夜の豪雨できっと道路はぬかるみ状態だろう。今日は道東スーパー林道にも行くので、ムリせんとこ。宮島岬は諦めた。でもいつか制覇してやるゾ。
 まずは釧路の和商市場に行った。結構大きな市場で、海の幸がたくさんおいてある。イクラ、ウニ、イカ・・・もう見ているだけでおなかがすいてくる。200円でご飯が売っているので、その上にイクラをのせて、はい、いくら丼。安くておいしくて最高の食べ物だ。これからは、北海道市場巡りなーんてものいいかもしれんな。
 夢にまで見た北海道道東スーパー林道の入口に到着した。とりあえず深呼吸。オフに乗り出してからというもの、日本最大の林道道東スーパー林道を走ってみたいとそれだけ思っていたことか。去年は昨夜の雨で道がぬかるんでいるだろうと思い、オフ初心者の私は泣く泣く諦めたんだ。今回も去年同様道はぬかるんでいるだろう。でも私も少しは成長したから、去年と同じ条件ならば前進あるのみだ。
 北海道、道東スーパー林道。全長70km。午前10時20分スタート!
 崖あり、谷あり、ジャリあり、ぬかるみありとすべてがここに集結していた。カミナリを伴う豪雨のため、あちこちに水たまりがある。ひどいところは5m程ぬかるんでいて、靴もジーパンもドロドロ。どれほどブーツを履いてこなかったことを走りながら後悔したことか。
 わだちのひどい所もあり、その溝にはまるともう抜けることはできない。ブラックホールみたいなのもたくさんあった。
 あるとき、鹿をまた2匹見た。今度は29日見た時と違って余裕があった。明るかったし、道はあってるし。
 途中何度かこけそうになった。走りながら景色を見ていたのでコーナーの入り方が悪くもう少しで崖と衝突するところだった。また、水たまりでフロントがすべってヒヤリとした時もあった。
 しかし、一番怖かったのはなんといっても全長70kmという長さだろう。70kmといえばもとぴーの家から、神戸の私の家くらいはある。途中でパンクやなんかおこっても、バイク屋さんがあるわけでもなし、どうすることもできない。進めば進む程怖くなってくる。アップダウンも結構厳しいし押していくわけにもいかない。とにかく一番気をつけたよ。
 結局トラブルなしで無事制覇する事ができてとても嬉しい。大きな目標を一つ達成した。この林道は津別峠を走れた人は絶対に行けるだろう。オン車でも十分行けるよ。枝道が多いけど、ちゃんと看板があるので間違えることはない道の特徴として、釧路よりは崖っぷちを走るのが多く、浦幌よりは林間コースが多い。
 ゴールしたのは午後12時28分。2時間8分かかった。平均速度約35km/h。まずまずじゃないんですかね。ゴールして記念写真を撮ろうとした時、一人のライダーが来た。これからこの林道に行くようなので、いろんな情報を伝達する。お気に入りの北海道キャップをかぶって、ガッツポーズでパチッ。
 次はやっぴー、かんちゃん、がんちゃん、中野一号、しまたにさんたちのいる夕張に行くのみである。午後3時頃に集合となっていた。2時間半もある。楽勝、楽勝と思いながら、快適に走っていたが、帯広の国道38がえら混み。約30kmすり抜けしっぱなしだ。私は淡路ですり抜けしてて、骨折?(右足、小指の先っぽでも骨が折れたら骨折じゃい!)したことがあるので、かなり慎重に(ビビってるだけ)運転した。そんなこんなで時間がたちどうやら3時には間に合いそうにない。とにかく一本切れ飛ばしまくって走る私。国道274はハイスピードで走れる綺麗な道だった。日勝峠は1年のほとんどが霧がかかって景色がよく見えないそうだが、この日はピーカンで下界の風景と山々のみどりと青い空がすばらしくいいコントラストを描いている。ここも北、知床と同じく気に入った道の仲間入りだ。バイクを止めて休憩したかったが、夕張の嶋商店に一秒でも早く着くんだということしか頭になかったので、写真を撮るには撮ったが、メットをかぶったまま観光客に撮ってもらった。三脚をだす時間がもったいなかったからだ。
 ひたすら夕張目指すが走っても走ってもまだある。後に地図を見て分かったことだが、渋滞を抜けてから168kmもあるんだよ。夕張まで。そらしんどいはずじゃ。
 それにしてもこの国道は大型車が結構多い。制限速度をしっかり守る自衛隊の車も走っている。だからカーブが続く道でその後ろにつくともう最悪。この急いどるときにタラタラ走んなぁと、二本も三本も切れてしまう。おまけにすーっとセンターラインが黄色の線。心痛いがはみ出しまくって追い越す。でも自衛隊抜かすときは少し怖かったな。特に戦車みたいなバズーカ砲を積んだ車を抜かした時は、撃たれるんちゃうかと思って自分の背中に神経が集中したよ。言うとっけどマジ撃たれるかと思ったんやで。夕張に着いてからみんなにこの話しをすると「撃たれるわけないやろう」と言ってたけど、本当に怖かったんだ。そのうちやっと夕張に到着。無線で応答できるようになった。みんなにお気に入りの北海道キャップを見てもらおうとすると・・・な、なんとタンクバックに入れておいたはずの帽子がないよ。えー、まじー。速攻で今来た道を引き返すがなかった。ショック、めちゃショックだよ。「クッソー!800円もしたのにー!蛍光ピンクでハデハデでかっこよかったのにー!クッソー!チクショーーー!!まっ、いいか、生きてりゃいいか、アハハハハ」(『夢で会えたら』のナンちゃん風に言ってね)と、すぐ立ち直ったけどね。
 夜は嶋商店のおばちゃん、おっちゃんに、大変ご馳走になった。お寿司、いか、さけ、とうきび、ジュース、ビール、サラダその他いろいろ。死ぬほど食べて苦しいのにおばちゃんはまだいろんなものを作って持ってくる。お風呂に入らしてもらったし。こんなに嬉しいことはない。嶋商店のおっちゃん、おばちゃん。本当にありがとう。ひとつ言い忘れたが、北海道初日にここでもらったさんまとおつけもの(なすび)を落としたことがあったが、私とやっぴーはくれぐれも「おばちゃんにもらったさばときゅうりのつけものおいしかったよ」などと言わぬよう念入りに確認していたことはいうまでもない。ところで、まだしまたにさんが来ない。もう遅いしきっとここまでこれなかったのだろう。と、思っていると電話がかかってきて、なんと事故を起こして今入院してて、両親とも北海道に来てるとのこと。せっかくの北海道でこんなことになるとは・・・。1日もはやく直ってほしい。
 今日の寝床は幸せの黄色いハンカチキャンプ場。無料なのに設備は整ってとてもいいところだった。きつねがいたのでがんちゃんビデオで撮りまくる。
 明日みんなは銭函にある「小さな旅の博物館」に泊まるが、金穴みぞみぞは一人寂しくフェリーターミナルで野宿だ。さあ北海道あと1日。
9月02日(水) 曇のち雨のち曇
 昨日の晩、きつねがいたので、とうきびの芯をあげた。翌朝、その場所に行ってみると食べ残しとフンがご丁寧に置いてあったのには、笑わせてくれる。
 朝方、雨が少し降ったが、午前8時44分。やんで曇っている。今にも降り出しそうだがなんとかもってほしい。
 とうとう最終日だ。と同時に今日は母さんの誕生日。もう61才になったんだなぁ。私は商業高校に行っときながら、急に大学に行くと言い出したり、父さんが病死して大学やめて、また戻ったり、夏は北海道、冬はスキーでここ3年毎年正月は長野で迎えている。ほんと、やりたい放題の娘だよ。そんな私も来年からやっと社会人になる。今までの恩を少しずつ少しずつ返していこうと思っている。歳が歳なだけに誕生日もうれしくないだろうけど、61才の誕生日おめでとうと、夕張から電話を入れる。
 さあ、今から嶋商店に行って朝ご飯。もう、いたれりつくせりだよ。
 ご飯食べ終わってからすぐそこにある遊園地に行くことにした。入場料はいらない。へんなの。客はほとんどいなかった。一回転するジェットコースターに乗ろうと思い、券を買いに行くと、一日フリーパス券が1800円。こっちのほうが得ということでみんなこれを買う。しかしこれが今日の過ちということに、誰も気づかなかった。
 がんちゃんはジェットコースターがきらいということなのでパス。私、たっぴー、中野一号の3人で挑戦だ。ところがこのあたりからまた雨が降ってきた。それでも乗る!
 あんだけキャーキャーいっときながら、ジェットコースターから降りてきてがんちゃんに一言「今日はこのくらいにしとったろ」やで。
 雨はだんだん激しくなって一時中断した。ゲーセンに行ってしばらく遊ぶ。雨は一向にやまない。それならさっさとペンションに行ってくつろぎたいところだが、1800円もした券買ってんからせめて元はとらんともったいない。しかたなくゲーセンで遊び続ける。中野一号はお土産を買うので先に夕張を発った。
 まだやまないので、レインウエアを着て再び遊園地へ行った。当然のことながら客は私たち3人だけ。係員のおっちゃんたちも私たちのあとに着いてきて乗りそうやなあと思ったらこっちきて機械を動かすといった感じだ。常に私たちの行動を監視されていて恥ずかしかったよ。だから帰るときはそのおっちゃんたちに聞こえるように「そろそろ帰ろうか」って大きな声で言ってた。そしたらおっちゃんたちも帰っていきよった。
 それにしても関西人ってのは「テイク&ギブ」をちゃんとせな気がすまんのね。ゲーセンでそれなりのお金使うんだったら、元は取れなくてもさっさとペンションに行ったほうがゆっくりできて安くつくのに、雨の中レインウエアとメットまでかぶってまで、乗り物に乗るんだから。おばちゃん家に戻るとお昼ご飯に、カレーそばとメロン一個食べた。メロン一個やで!それにお土産としてとうきび4本と、メロン1個もらった。
 そろそろ夕張を出発。嶋商店のおっちゃん、おばちゃん。本当にお世話になりました。今度北海道に行くときまた寄ります。
 私たちは今、雨の中を走っている。札幌が近づくにつれて渋滞してきた。(あーあ、もう糖分のあいだ爽快な気分で走ることもないだろうな)とすり抜けをしながら思ってた。
 銭函でみんなと別れ私は小樽のフェリーターミナルへ向かった。小樽に到着。夕方の船に乗る人が多くターミナルは混雑していた。明日までかなり時間がある。暇だ。雨が降っているけど、小樽駅の方まで行ってみようと思い、雨の中走る。何時頃帰ってきたのか分からないが、疲れていたので寝ることにする。まだ雨が降っているので階段の下にテントを張る。
9月03日(木) 曇
 夜中に何度も目が覚めた。バイクの音やトラックの音がめちゃくちゃうるさかったからだ。
 午前4時30分にテントをたたむ。ジーパンや靴が昨日の雨のせいでまだ濡れている。しかたない、朝から短パン、せったという地元スタイルで港をうろつく。
 そうそうバイクを並べとこと思い持っていくと、もう2台おいてあった。あーあ、ポールとちがうわ。でも3番目やしまぁいいか。
 午前5時12分。7時半頃にみんな港に着くだろう。それまで暇やなぁ。無線でも聞いとこと、いじっているとなにやらヤッターマンの声がする。どうやらテレビらしい。この無線機改造してるから聞こえてくるんだろう。暇つぶしにちょうどよかった。トンズラー、ボヤッキー、ドロンジョたちはあいかわらずどんくさいことをしている。懐かしいなぁ。「すかぽんたん」だって、ドロンジョらしいや。
 午前6時。ライラック号が到着し、これから北海道ツーリングに行くライダーも何人か降りてきた。今から走るのは大変だな。でも頑張って走ってきてよね。
 8時ごろ、みんな到着した。
 バイク、3番目だったけどおっちゃんが「もっと前につめて」と言うので私は一気にポールになった。ずるいかもしれんが、しょうがない。前の2人がおらんかてんもん。
 船の中では私とやっぴーはもう死んでた。出発の時、甲板にいたけど、堤防の向こうはやたら白いんだ。何かなと思ってよく見ると、それは波だった。結構揺れるんちゃうんかなぁ。案の定凄く揺れた。私は起きあがることもできず、終始ご飯は食べることができなかった。やっぴーはレストランのご飯を2等席に持ってきて、寝て食べてた。起きることができないからだ。中野二号やがんちゃんは全く平気だったみたい。マージャンしてたもんな。
 そんなこのがあって、帰りのフェリーはずっと寝てた。
北海道ツーリングを終えて
 北海道は景色も素晴らしいが人もいい人ばかりだ。精神的に休まる。日頃からあの広大な自然を見ているから心も広いんだろうか。北海道では時間なんて関係ない。時計なんて見る必要ないからゆったり、のんびり過ごせるわけだ。ライダーが北海道に行った時そうなるんじゃないかな。目が覚めたときが朝で、おなかがすいたら飯時で、眠たくなったら夜。景色が綺麗だと思ったら立ち寄り、またいろんな人と情報交換して次の目的地へと向かう。自分のやりたいことがそのままできるところが北海道のような気がする。簡単なことだけど、これが都会ではできないんだな。都会に住んでる人は毎日毎日、時間に追われて狭いところで過ごしている。時計をチラチラとか、あの人のコーヒーは砂糖なし、この人はミルクだけ、課長のコップはどれだったかな・・・。なぁんて「ふりむけば人間関係」こんなに違うライフスタイルだと、心の大きさも変わってくるのか。
 旅はどこに行ってもそうだろうが、観光地巡りより人との出会いがなにより嬉しいし、楽しいよ。そもそもこのライラックだって、その出会いで結成されたグループだし。
 この11日間いろんなことがあった。自分のイヤなところや、いいところが見えた。人の優しさに感動した。怖かったこと、悲しかったこと、おもしろかったこと、悔しかったこと、死ぬかと思ったこと、寒かったこと、一本切れたこと等々。今思うと全部思い出。もう過去のこととなってしまった。色々あって本当に楽しかった。自分自身少し強くなったんじゃないかなと思う。北海道ツーリングとは、ただ単にきれいな景色を見るだけではなく、それよりもっと大切な何かをつかみにいく旅だと思う。今年の北海道のテーマ「やさしさを求める旅」としてみたが、十分優しさにふれることができたよ。後は、大阪に帰ってきて私がどうするかだ。
 北海道にありがとうと大きな声で言いたい。らいらっくのみんなにも、道内の人にも、私とかかわった人みんなに言いたい。