迷ちゃん・四国をゆく
〜やっぱりわたしは ま・い・ご〜

機関誌 Vol.07 75〜78ページ

<CB750FC>


〜Γ登場!〜
「なあなあ、としえちゃん、RZV500か、ガンマ400n乗り換えようと思うんやけど、どうかな?」
「オーホッホッホ・・・・ホーホッホッホ・・・!!」
その笑いは宮沢りえ扮する白鳥麗子そのものであった。だが、としえちゃんがRGV-Γを内緒で買っているのを知らないのはこの場に誰一人としていなかった。バレバレである。

偶然(かどうかは私だけが知る)、友人の結婚式ととしえちゃんが愛媛の大洲に住んでいる姉さんの家に遊び(子守)に行く日を無理矢理一緒にしたので、婚前旅行を兼ねて(パーンチ!!)二人で行くことにした。吹田SAあたりで待ち合わせをしようと提案したが、としえちゃんの「港までは絶対大丈夫」のムッとした剣幕に負けてしまい、六甲アイランド集合とあいなった。さて、話しは港まで飛びます・・・

4月3日(晴れ)

 8時45分、港に着いた。通い慣れた道だけに楽である。としえちゃんはまだ来ていないみたいだ。とりあえず乗船手続きはしておこう。えーと、名前、としえちゃん、年齢、20歳・・・むちゃくちゃ抵抗があったがまあいいか。
 外に出るといきなりCBの横にピカピカのガンマが止まっているではあーりませんか。らいらっくのグリーンのジャンパーをまとった彼女は紛れもないとしえちゃんであった。うーん、いつ見ても可愛いねえ、ツナギが。(パーンチ!!)お揃いのジャケットで歩く姿はどう見ても恋人同士であろう。その割には仲悪いみたいだけど。
 速攻で切符を買って一番前までバイクを運ぶ。ガンマのトリップメーターはたったの90km。おおーバリバリの新車やんけ。前回帰省したときは乗船が最後で席がなかったのでとにかく早めに並んで車の間に割って入る作戦に今回はでた。それが功を奏し、いきなり積んでくれた。ダッシュで駆け上がり場所をキープする。
「ああしんど。」荷物を下ろす。
「バイクに荷物おいてくるわ」と、としえちゃんは再び甲板に下りていった。が、案の定、帰りに迷子になって帰ってくるのだった。ほーほっほっほ。
〜夜は終わらない〜
 二人で夜の甲板まで上がり、出航まで神戸の夜景を見る。芦有から見る夜景もいいが、海から見る夜景もおつなものである。いい雰囲気なのだが、ちょっかい出す勇気など私にはとうていあるはずがなく、ひおぴーもとぴーがこの時ばかりはうらやましくなる。(パーンチ!!)
 ちょっと遅れて船は出航した。だんだん遠ざかる風景。少しまだ夜風は肌にしみるようだ。ほどなく部屋に戻る。
「ちょっと着替えていい?わたしあんまり気にしないほうだから」
と、としえちゃんがツナギに手を掛けて脱いだ・・・と言う事は決してないが、ちょっと恥ずかしかったですね。へろへろ。
 てな具合でビールで完敗、いや乾杯して夜は過ぎていった。私は横になってからもなかなか寝付けず、夜中にふっと横を見るとそこには可愛いとしえちゃんの寝顔があった。

4月4日(曇りのち雨)

 〜私はかわいいアライグマあめおん〜な〜(CMソングにのせて歌ってね)

 としえちゃんに起こされた。眠い。暖かいコーヒーと思いきや、住めた威コーヒーで目が覚めた。さすがとしえちゃん。外に出ると北条沖を走っているようだ。2年の時によく来たなあ、そんな事を考えているうちにほどなく松山観光港に入港する。甲板に降り、エンジンに火を入れた。
「ズボオーン、ボボボボ・・・・」重い音だ。
 としえちゃんもキック一発!
「ツポポポポ、パウーン」
 あたり一面はマヌーサを唱えたように幻に包まれてしまった。いい迷惑に違いない。
 さて上陸だ。ここからわが家までは30分ばかりの道のりである。が、途中から雨がポツポツ落ちてきた。それでもどうにか家にたどり着いた。しかし朝食を食べ終わる頃には雨はかなり降ってきたようだった。さすがにカッパを着て道後温泉に行くには悲しすぎるのでバイクは置いて車で行く事にする。かねてより噂だった私の弟が珍しく朝早くから起きていたのでとしえちゃんのリクエストにより登場させた。その時のとしえちゃんの目は少女漫画の瞳のようにうるうるしていたのであった。ごめんな、全然似てなくて(声はクリソツなんだけど・・・)
 いやあ、車を運転するのは久しぶり、それも横にとしえちゃんが乗っているのでガチガチ緊張しまくり。おちつけ、おちつけ。まさこちゃんのときはそんな事なかったんだけどなあ。
 朝の道後温泉はいつものようにすいていて、湯もきれい。夜来ると湯は濁りまくっているので必ず朝湯にしましょう。風呂から上がってがんちゃんの所に電話を入れる。
がん「かんちゃん、今どこや?」
かん「道後温泉を出たとこ。としえちゃんが出たら一緒にいくわ」
がん「今日はスペシャルゲストがきてるでー」
かん「誰やそれ?」
がん「ないしょ!」
 しゃあねえなあ。誰やろ?行けばわかるし。
 体が適当に暖まったところで再スタート。だが突然サイレンが!火事である。どうやら近くのようだ。風呂に入っているときやったらビビンバ、いやビビっていただろうなあ。
 車をがんちゃんの家へ向けて走らせる。BGMはCOMPLEX。弟のテープである。道後温泉から10分あまりでがんちゃん家に到着。そこには神戸ナンバーのシルビアが止まっていた。
「組長だ!」
 組長とは海洋工学科の友達で、彼の友人ががんちゃんである。早い話彼とつるんでいてがんちゃんも一緒になった。という感じである。卒業以来会ってないので感激雨あられである。
 いきなり盛り上がった所で昼食を近くのすかいらーくまで食べに行った。ここでも組長はキレまくっていて、としえちゃんがコンソメスープで溺死寸前になりかけた。

  名言

    かん「仲がいい程けんかするって言うじゃない」

    がん「仲が悪くてもするって」

〜大名行列・清水美砂はきれかった〜
 相変わらず雨は降ったりやんだりしている。松山城には車で行くこととし、組長のシルビアに4人乗り込んだ。愛媛大学の駐車場に守衛がいないのを見計らって車を置き、歩いて城山登山口までゆき、ここからロープウェイに乗るのだ。もちろん私はとしえちゃんと相合い傘で歩いたのはいうまでもない。(パーンチ!)ゼーゼー言って頂上まで登ると桜が一面満開だ。うーん、綺麗やねえ。ふとここで妙な時代劇の格好をした連中が多い事に気が付いた。毎年4月4日は大名行列(奥方に女優が扮する。今年は清水美砂らしい)があるのだが、この雨でどうやら中止らしいという噂だった。がどうやらやるらしい。TVカメラも何台かきているようだ。あたしを撮りにきたのね。などとたわけた事をいうコンコンチキの誰か。更に天守閣まで登る。晴れていれば松山市内が一望できるのだが、あいにくの雨で松山平野は煙っていた。
「あれがさっき通ってきたところね」
と、全く違う方向を自信満々で指さす誰か。分けのわかんない写真を撮る。さあ下に降りて大名行列でも見ようかと思い足早に降りると、もう下山しちゃったと、という人々の声。しょうがないのでみんなで桜の前で写真を撮る。灰皿をひっくり返す誰か。
 としえちゃんとまたまた相合い傘で歩き始める。天にも登る気持ちだ(マデじマジで)どうにか下山すると人だかりが出来ている。おや?まだ大名行列は出発していないらしい。慌ててカメラを構える我々。そこへ奥方に扮した清水美砂が登場。さすがにそのスジの人、綺麗やねえ。見とれる我々。望遠で写真撮りまくるがんちゃん。

  迷言

    がん「清水美砂って今年21歳なんやって」

    とし「なんだ、わたしより年上だわ」 パーンチ!!


〜ガンマ、トラブる!!〜
 ひとまずがんちゃんのところで戻り、としえちゃんを家まで連れて帰り2人で大洲を目指す予定・・・であったが、車で組長が帰ってきているので伴走してくれる事になった。荷物がないだけでもこの雨だ。かなりの負担減である。
 小雨をついてガンマとCBとシルビアは一路大洲に向けて出発!!のはずがR56に出るやいなや、とんでもない渋滞。なんで?急遽ルートを長浜経由に変更する。これがなかなかの正解で、道は綺麗やし、めっちゃすいてるし、雨もとりあえずやむし、晴れてたら言う事なかったけどしかたないなあ。
 てな訳で快調に海岸線を飛ばしていたが、ふと後ろを見るとガンマとシルビアがいない!ゲッ!転倒か?すばやくアクセルターン(単に路面が濡れていただけ)して戻ると道ばたにとしえちゃんが止まっている。
 「エンジンまわらんなってしもた・・・」
 もう今にも泣きそうな顔だ。ガスはさっき入れたばかりやし、オイルもあるし?アクセルをひねるとめちゃめちゃ軽い。おや?これワイヤー引っ張れてないで!どうやらワイヤーがゆるんでいたらしい。すばやく張り直してキック一発!
「ツポオーン、ツポポポ・・・・」
「一人やったらどうなってたかわからんかったわ」
新車なのにとんでもないトラブルだったが、みんなで走っていた時で本当に良かった。高速なんかやったらアウトやで、全く。
 気を取り直して再出発。長浜駅で休憩して後は一直線にお姉さんの家へ。5時到着。お疲れさまでした。お姉さんはとしえちゃんを細くしてちょっとキツ目の感じにしたような人でそっくりでした。兄弟姉妹は似てるものです。(ごめんな弟と全然似てなくて)
〜その後のまいちゃん・やっぱり・・・〜
翌日、私は友人の結婚式なので帰りは伴走できなかったのですが、とあるスジから帰りの話しも入手したので続いてお楽しみ下さい。

4月5日(日)(曇りのち晴れ)
 お昼過ぎにお姉ちゃんのところを出発する。かんちゃんは危ないから陸送はやめろ、って言ったけど、ここらで迷ちゃんの汚名を返上しないとね。うーん雨も上がっていい天気。てな具合であっという間に松山についちゃった。今日はバイクも多いしピースもはずむ。あっ、DRだ。スズキのバイク最高ヨね。それ、ピース。あれ?派手なピースね。両手両足上げたりして?北海道じゃないんだし、松山って変な人多いのかしら?
 そう、その対向車線を走っていたのは偶然にもがんちゃんだったのだ。
「としえちゃん、無視するんやもん」(がんちゃん談)
 がんちゃんの案内で松山市内も無事に抜け、西条から松山自動車道に上がる。そろそろ回してみようか・・・パオーーン!!120km/hでかなりぶれていたのにこの安定感ったらっ・・・さすがかんちゃんのナイスアドバイスね。
 瀬戸大橋も無事に抜け、岡山に上陸。さっちゃんとこにも行きたいけど道わかんないしね。まあええか・・・その時私はオイルをまだ一度も補給していない事に気が付いた。「そろそろ入れないとやばいんちゃうやろか・・・」不安とは裏腹にバイク屋は一軒もない・・・焦る焦る。あっ、あっ、どうしよう私のガンマ。
 その時見つけたのがカワサキのショップ。藁にもすがる思いで店に飛び込んだ。「スズキのバイクにカワサキのオイルを入れて大丈夫でしょうか?」相変わらずパーンチの私。一応OKと言うのでほっとした。が、悲劇はこれで終わろうはずがなかった。オイルに気を取られてガスの事をすっかり忘れていたのです。ブルーハイウェイにあがったのはいいんだけど、どこにもSAなんてありゃしないの(当たり前じゃ。高速とちゃうで)もう辺りは真っ暗、明かりもない。運良く料金所があったのでおじさんに聞くと「30kmぐらいいかんとないでー」・・・うっそー・・・ヘルメットの中では涙がちょちょ切れる。こんな事ならかんちゃんと一緒に船で帰ればよかった・・・。
 そしてようやく街の明かりが見えたとき、私は山本大先生の、あの、心理状態がほんの少し分かったような気がしました。家にたどり着いたのが夜中の12時。次からはちゃんと船で往復しようと思った私でした。