MAKIKOの夏の甘い思い出

機関誌 Vol.06 25ページ

<本人未公認のゴーストライター 一号>


たそがれ色の風が吹くこのごろ、ベランダから夜空を見上げていると去年旅した北海道を思い出すの。あの頃私は前の彼との関係に傷ついて、気分はちょっとブルーだったわ。それで、そんな気持ちを整理するために、小樽行きのフェリーに乗ったって言うわけ。その時のすてきな思い出を、今思い出してみる・・・。

「北海道は初めて?」
と、彼が話しかけてきたのが始まり。初めて会ったばかりの人だったけど、優しそうな人だったんで、彼に悩みを打ち明けてみたの。夕陽を見てた彼の憂いを含んだ瞳が私に微笑みかけて、
「元気だしなよ。向こうに着いたら北海道の大きな自然に身をゆだねてごらん。たぶん君の悩みも包み込んでくれるよ。」
彼のその言葉に私の小さなハートは小刻みに震えたの。
                                   30 hours passed・・・
「あの、今日はどこまで行くんですか?」
「ん、まだ決めてないんだ。とりあえず函館まで下りようと思ってるけど。ついてくるかい?」
「はい!」
それからEN400とTZRは土砂降りの雨に中を走ったり、道に迷い二人で野宿したり、地平線の見える丘でお昼寝したり、私が事故って彼を心配させたりしながら2週間の旅を終え、彼は京都に、私は神戸にと、それぞれの生活に戻って行ったわ。

あっ、ごめんね。バイクの音がしたみたい。これから彼とちょっと走りに行くの。えっ、だれかって?
もちろん、フェリーで知り合った彼よ!

この作品はフィクションであり、登場人物は架空の人物です。