TRUTH(まり)

機関誌 Vol.04 27ページ

<かんちゃん>


僕らがお互いを意識するようになったのは、当然の流れといま言ってしまえばそうだったのかもしれない。
始めてあいつに会ったのは小学校4年生の秋の日だった。そう、僕は今でも鮮明に覚えているんだ。埼玉から転校してきたあいつは不思議な魅力を持っていた。僕達は日が暮れるまでたんぼで野球をして泥だらけになったものだ。
そんな2人が別々とはいえ、高校の制服を着て恥ずかしそうに並んで歩くようになったのは16になって間もない頃だった。
彼女は僕より誕生日が一日早い10日生まれというだけで姉ゴ風をふかせていたが、事実彼女は僕より10cmほど背も高かったし、体格もよかったので無難といえば無難かもしれない。今だから笑ってすごせるという考え方もあるなと少し苦笑した。
僕達の関係はお互いの両親も知っていて、決してうしろめたいものではなかったけど、滅多に会えない状況だった。彼女はすごく口下手で、電話口で僕の親が出ようものなら、何をしゃべったか覚えていないし緊張するといつもぼやいていた。だけど僕はそんな彼女が大好きだった。
でも大学に入った頃からお互いの歯車が少しづつかみ違ってきたのを僕は何となく感じることが多くなった。別に嫌いになったとか、愛が冷めたとかそういうものではなく、全力疾走をしてきてふっ、とペースダウンした時、体は止まっているのに腕は振り続けるのをやめない、そんな感じ。
残暑の厳しい9月のある日、バイクでタンデムして海まで行った。お互い海を見ながらぼんやりしていると突然彼女がこう言った。
「なんで私を選んだの・・・・?」
答えは偶然の再会まで保留しておくことにした。
そして新たなる運命のサイは最北の街で一年後振られることになろうとは思いもしないのである。
                                    NEXT TIME Vol.5!