刻印付け
ひおぴーの行動を考える

機関誌 Vol.04 21ページ

<やっぴー>



 昨年北海道ツーリングでよく見られた光景にひおぴーが寝ていて起きてすぐに見た女の子を友達・またはそれ以上と思い込んでしまうのがあった。例えばゆかりちゃん、中山さんに初めて会った時の彼の行動はそれを明確に表している。この行動について解明してみることにする。
 図1-1は孵化してから数時間の鳥の敏感期を表している。この時期は彼らは愛着することに対して感じやすい。刻印付けは有機体が動く対象を追う能力がないと不可能であり、もし有機体が見慣れない対象を恐れる場合は不可能である。つまり、移動能力が高くて恐怖が低い場合に限り刷り込みされる。
ひおぴーの場合睡眠により力をため、元気になったところで可愛い女の子を見た時に刷り込みされる。心理学的に言うと刷り込みは愛着を「学習」し、その愛着が社会的結合を生み出す重要な機構である。

 発達的研究から引き出されている2つの結論は、ある動物の学習する能力それ自体が種に特有なものであるという事と、学習が種に特有な多くの行動の発達に対して必須のものであるということである。つまり、ひおぴーの例の行動は彼独特のものであり、寝起きに初めて自分が目にした全く赤の他人だが、可愛い女の子に対して愛着を持つことが彼独特の個性の発達に大きく貢献しているということである。

 最後に二つ、実際の刻印付けとは違ったひおぴーにしか見られない現象を挙げてみる。まず移動能力が高くて恐怖が低い場合に刷り込みされるのだが、この両要因の組み合わせは鳥の場合生涯で一度しか起こらない。しかしひおぴーの場合可愛い女の子がいれば何度も起こる。また、刷り込みが一番起こりやすいのは普通16時間目であるが(図1-1参照)、ひおぴーの場合起きてすぐの時間が最も敏感である。

                          参考文献「心理学への招待」有斐閣ブックス
                              「サイコロジー」 協同出版



 最後に原稿の整理、急なワープロの入力作業、データの収集など協力を惜しまれなかったかんちゃん、正月を返上して進められた今回の執筆作業にも全面的に協力を惜しまなかった関西学院大学社会学部心理学科の乾博士に対してここに感謝の意を表します。


                    1991年2月 有野町五社駅東口 五社バスターミナルにて
                                          やっぴー