再会(TWICE)北の国で・・・

機関誌 Vol.03 45ページ

<やっぴー>


午前6時。爽やかな朝の新緑の中をFZで流す。レプリカとは違った落ち着いたフィーリングが長距離かつ高速のツーリングを楽にさせる。オレは羊蹄山であの有名なアイスクリームを食べるため余市でみんなと別れる。GSX-R、刀、VTZ、そしてFZの4人だ。国道5号線は車が多いと聞く。確かにそうだ。こんな時間にもかかわらず・・・、いや、フェリー到着直後だからかもしれない。しかししばらく走ると徐々に北海道らしい直線、たいしたことないのに急カーブ注意の標識、道の境を示す矢印、そしてやわらかな日差しが目の前に展開する。
オレは今年も全く、と言っていいほどガイドブックを見なかった。人が行くからそこに行く、というのはオレの精神(Splits)に合わない。だいたいの宿泊場所を決めておき、途中何かがあればそこに行く。それはつまらない所もあれば面白い所もある。それがいいのだ。期待した割にたいしたことなかった六花亭よりもたまたま見付けた中標津駅前のはせ川のほうがおいしかったように思う。
これほど言っておきながらも去年ガイドブックを見たときの羊蹄山の写真だけは脳裏に焼き付いていた。黄色や白色の煙をあちこちで上げ、卵を売るおばさんそして2つのソフトクリーム。これだけはどうしても忘れられない。羊蹄山はもうすぐだ。GSX-Rの後ろをまだかまだかと走る。
突然GSX-Rは止まった。ちょっとガスッてるけどここで写真を撮るというのだ。しかしそこには煙も卵もソフトクリームも無く、人さえいない。おかしい、そんなはずはない。オレはGSX-Rに聞いてみた・・・。
「やっぴーのゆうてんのんて、もしかして硫黄山と違う?!」
そうだった。
函館を目指して4台のバイクは走る。大沼公園を越え、市内に入る。ミートハウスを探すのだがよく分からない。もう午後3時を過ぎている。地図を持っているヤツはいるはずもなく、あせりはじめた。どこにあるんだ!ここはどこなんだ!と、函館の駅に着いた時である。オレは感激でフルフェイスのメットの中で叫んだ。そいつがいたのだ!夢にまで見たLilacのグリーンのジャケットだ。しかし、ヤツは気づいていない。刀が止まる。GSX-Rが止まる。そしてFZも止まった。メットを取りながらオレは叫ぶ。ヤツも叫ぶ。
「おおしょーーーーおとぉこぉーー!」「やぁーーすだぁーー!」
2人は駆け出す。まるで映画のスローモーションのように。一歩一歩が長く感じる。あいつ、男のくせに涙なんか浮かべやがって・・・と、思いながらもオレは汚れたグローブで涙を隠しながら走る。やがて2人は方を抱きあうのだった。
                                        ちゃんちゃん