初歩のヤンキー講座

機関誌 Vol.02 15〜18ページ

<乾博士>


                                         講師:関西学院大学社会学部

                               社会心理学研究館 乾博士

第一章 ヤンキースタイル


 語源)  「ヤンキー」なる語の語源は、必ずしも明らかではないが、今で言うヤンキーに特徴的な
      ファッションそのものは10年ほど前に既に関西の都市(特に大阪)に見受けられていた。

 スタイル)男 = 頭のパーマ、リーゼント、オールバックがもっとも重要なポイント

      女 = 全体的にきつい化粧の仕方
          ギンギンのラメ入りブラウス、タイトスカート、黒のストッキング

 このようにヤンキースタイルの重要な特徴は、通常の「おとなしい」服飾パターンから逸脱した、局
 外者から見れば「不良がかった」異様な格好であるといえよう。

 しかし当事者にとっては、下位文化的な価値基準や審美基準と、それに対する世間一般の物の観点の
 両方を含む、アンビバレントな(価値のある)性格を持つと言われている。

第二章 ヤンキースタイルのルール


 ヤンキースタイルがその参加者に対して持つ拘束力、およびヤンキースタイルの逸脱行動の関連は、
 以下のような日常生活とヤンキーの世界の境界と密接な関連を持ついくつかのルールとしてとらえら
 れる。

 ルール1『ヤンキーの世界に入る者は日常生活に対するコミットメントを捨てなければならない』

      中途半端(ハンパ)なヤンキーは、卑怯者だ。
      ヤンキーである故の不利益を覚悟して、正統派ヤンキーを自認すべきだ。

 ルール2『外見上のヤンキースタイルのイカツさは、実力と比例しなければならない』

      ヤンキーは、実力相応のスタイルでランク付けされるのである。

 ルール3『ヤンキースタイルは、ゲーム、アソビ、パロディーである』

      ヤンキー達は、極度に類型化されたヤンキースタイルのイメージを純粋なパロディーとし
      て楽しむ事ができる。

 このように、ヤンキーにはヤンキーなりの隠れたルールが存在し、彼らのライフスタイルを確立して
 いるのである。

第三章 ヤンキーから社会人へ


ま、まず断っておくが、私は元ヤンでも何でもない。
子供の頃から田舎に育ち、神戸の街に出るのも一日がかりだった。中学校ではよく人を笑わし、ウケるためなら何でもした。
しかし高校は都会にあったため、田舎者のギャグはあまり通じなかった。仕方なく私はそのライフスタイルを変えていかざるを得なかった。都会の中学校出身の友達は言葉遣いが悪く、アルバイトをしてたりして、一歩進んでいるように思えた。幼い私は、被影響性が強かったのか、すぐに「お、おまえー」とか、「だ、だぼー」とかいう言葉が使えるようになったのだ。

                  Five Years Ago

あともう少しで21歳になる。
あれからいっぱい恋もしたし、成人式では振り袖も着せてもらった。
私の前には、今いくつもの道が開かれ、どの道を選ぶべきなのかはすべて自分に委ねられている。そんな戸惑いの中で、私はもっと自分自身を的確にとらえて、社会の中に自分を投げ出し、密かに社会に貢献できればいいなぁと思う今日この頃である。


                       参考文献『ヤンキー・暴走族・社会人』(新曜社)