正しい押し掛けについて

機関誌 Vol.01 37〜39ページ

<No.16 王将男>


日曜の朝はいつもより早い。ステレオから流れてくるBGMより早く目が覚める。ヘルメットをかぶるとバイクに乗り始めた時に戻った気持ちになる気がする。峠に向かういつもの道でこいつの今日の機嫌を見てみる。しかし今日は少し上での伸びが物足りず、へそを曲げている様だ。
峠の始まりでは待ちかねていたライダーが思い思いに耽っている。軽くタイヤを暖めようとギャラリーの前を過ぎると三台が俺のケツに張り付いてくる。一台は新車でおろしたてのツナギを着ていて、もう一台はセパハンにB・SそしてヤマモトのCタイプを付け、コケてアッパーカウルは取ったものと見られるCBR400RRの二台がいるが、こいつらはオレの相手ではなかった。やっかいなのはもう一台のΓ500だ。甲高いエキゾースト・ノートからスガヤのチャンパーを付けているものと思われ、ノーマルでもこいつに負けているのに・・・と思いながらも、アクセルは全開にしていた。長いストレートを終えると、左のきついコーナーが待っている。ブレーキのタイミングが遅れたおかげでΓには抜かれずにすんだが、かなりテールスライドしていた。そこでNSR'89は脱落していった。あたりまえだ。あんなガキには追いついてこれるわけがなかった。
登りのきついストレートの後は右へのヘアピンだが、オレの得意なところでΓは少し手間取り差がついた。CBRは何とかついてきていた。左コーナーを終え、S字コーナーまでオレが頭を取っていた。次の左の3コーナーではチェンジミスをしてしまい、立ち上がりでΓに頭を取られてしまった。Γのプレッシャーにオレは負けてしまった。しかしこのまま引き下がるオレではない。最後まで食らいついていこうとしたが、ここでマシンの差が出てしまい、S字、シケインとだんだん差が開いて、こいつもオレと同じようにそろそろ峠を卒業している時期にきているらしい。その後の残りの二ヶ所の右コーナーを過ぎようとしていた気の抜けたオレをCBRが強引にアウトから抜き去っていった。
この峠にも、攻めるためには二度と来ないだろう。オレの青春時代を過ごしたこことも別れる時がきた様だ。心の何処かでこの時が来るのを恐れていたのに、今は清々しい気持ちでこの峠を下りてゆける気がした。また今度ここに来る時にはまたオレに昔の夢を見続けさせてくれ。

Forever Dream



で、これが”正しい押し掛けについて”に何の関係があるんや・・・と思っているあなた、私も意味がわからんから聞かんとって下さい。このままでは納得できないと思うんで・・・

正しい押し掛けについて

まず、4スト単気筒では難しいと思うし、4スト6気筒またはGL、GV等、VS、VN等もまずムリと思われるんでやめといたほ方がいいでしょう。
それでは私のバイクFZ750での押し掛けの仕方を書きます。まず、スイッチをONに回しギヤはニュートラルまたはローに入れてクラッチを切り、またいたまま2、3歩押してやり、ニュートラルの時はローに入れ、ローの時はそのままクラッチをつなぎます。その時にシートに加重をかけてやるとエンジンはかかります。みなさんもご自分のバイクでやってみて下さい。

みんなの愛車